航空便の荷物を出しに 夜の羽田空港へ。
コンテナとオレンジの電灯が並ぶ倉庫街を車で抜ける。
前を走るトラックに書かれた
『NITTSU EXPRESS』の縦長の文字を見て
急に懐かしい気持ちになった。
引っ越しの度にいつも利用していたせいか、
環境が変わる節目節目のことを思い出すアイコンのような文字。
荷造りした段ボールを全てトラックに積み終え
パタンっと後ろの扉が閉じてロックされた後、
目の前にある『NITTSU EXPRESS』の文字を見ながら
この街を離れるんだ、と しばし立ち止まってしまう
あの少し感傷的な間が蘇った。
左右へ往来する人と
次から次へと運ばれて行く荷物のスピードと対照的に
時間が止まる瞬間がある場所、空港。
人にとっても荷物にとっても 単なる通過点でしかない場所だが、
そこはいつも私にとって
時間と記憶を触発するインスタレーション空間。
夜の羽田空港にて。