現在の不況の中、今 世界は色んなことを見直すことに目覚めている。
その中の一つとして、自分自身であったり自分の周りだったりと
向き合ってその核や基を改めて知ることがある。
ちゃんと目を向けてみると、今まで気づいていなかった
もしくは見逃していた本当に大切なことであったり
沢山の魅力や要素を見つけられる。
海外ドラマが棚を独り占めしているレンタル屋や、
日本に進出してきた海外ブランドを手に入れる為に並ぶ長蛇の列、
伝言ゲームのように曖昧に伝わったインフルエンザの情報に恐れて
完売するマスク…など。
全てが少し滑稽である。
日本人は遠視なのかもしれない。
遠くにあるものに目を向け、
手元にあるものはぼんやりとしか見ていない。
気持ちを生産することより情報を消費することを快楽とし、
日々それを必死にこなす。
こんな状況だからこそ、
これぐらい強く これでもかという程に
日本が生みだしているものを見せるこの展覧会のような機会は
とても大切で、必要なことであると思う。
現代美術のコレクターで、今回の展覧会の作品の収集者でもある
精神科医・高橋龍太郎氏自身が選んだというタイトル、
"neoteny"(=幼形成熟の意)。
しっくりくる言葉。
なんとなくで全て完成されている日本を表す言葉。
日本の現代美術の特徴をとても分かりやすく展開し、
一気に楽しみながら 必ず飲みこんで帰れるような内容。
ネオテニー・ジャパン -高橋コレクション-
上野の森美術館にて
7月15日まで会期中