
二日目。
やわらかいガーゼのような霧が村を覆う
視界にうつる朝の景色の美しさに溜息。
歯を磨きながら 隣のテントの方と話す。
彼女たちは徒歩で回っているよう。
時間があれば私も徒歩で回って
一つ残さずこの街の良さを体験したいと思った。

朝から満たされ過ぎる程の美味しい
甘いかぼちゃのリゾットを食べ、
更にブルーチーズのハンバーガーをブランチ用に。
テントを撤収し、また作品を見て回る。
イリヤ&エミリヤ・カバコフ 棚田 
これもまた話題の作品。あまりにも棚田に自然にある。
シモン・ビール 今を楽しめ
牛島達治 観測所

パイプの片方は田圃、もう片方は空の音を拾い、
両方を一緒に耳に当てて 目を閉じて音を聞く。

風が強く、左へ右へ並んで倒れて踊る稲穂を見ていると
貝殻を耳に当てて波の音を聞いたのを思い出す。
河口龍夫 関係―大地・北斗七星

錆びた鉄板に開けられた北斗七星型の穴から空に向かって植物があふれ出てきていた。
立木泉 水のプール
オノレ・ドゥォー 地震計
パスカル・マルティン・タイユー リバース・シティ

各色鉛筆には世界の国々の名前が書かれていて、
下に入り込むと それが全て自分に向かってくる。
MVRDV まつだい雪国農耕文化村センター「農舞台」
休憩所のスタッフのおばあちゃんやおじいちゃんの
穏やかで優しい表情に 本当に憩いを感じた。
河口龍夫 「関係-黒板の教室」「関係-農夫の仕事」

ジョセップ・マリア・マルティン まつだい住民博物館
小沢剛 かまぼこ型倉庫プロジェクト・かまぼこ画廊

中はこんな感じ。
草間彌生 花咲ける妻有
花びらの一つにすっぽり包まって
寝転がって見る景色が気持ち良かった。
お土産に
「ツマリ・コメ」を購入。
このパッケージ、可愛い。
福武ハウス

前を歩いていたおばあちゃんが背負っていた
ビニールを手編みしたリュックが、とても素敵だった。
少しねだってみたが 毎日使っているからと言って貰えなかったが
作り方を教えて下さった。
福武ハウスに入り、
見たかった
スカイ・ザ・バスハウス/平野薫の作品。
祖母の割烹着を解体し、部屋中を埋めつくすインスタレーション。
他人には目で見ることの出来ない 人の中にある記憶を
形としてあらわされた作品がとても好き。
記憶に浸るとき、人はとても人間味を帯びる。
だからこそ このように人の手による 手作業で表現されると
より「人」を感じて 心にひびく。
思いがけなく出逢えて好きだった作品、
シュウゴアーツ/千葉正也「みんなで冒険しようぜ #2」。
彼が作ったキャラクターが波打ち際を散歩したり
花火で燃えたり 紙ねんどで整形されたり 屋上から落とされたり
色を塗られたり・・・ひたすら形を変えてゆく姿を映した映像作品。
最初は何だかわからないそのキャラクターも見ているうちに
「彼」という具体名詞になり、どんどん感情を感じ、惹き込まれてゆく。
とにかく没頭してしまう 面白い作品。
音楽室で譜面台に飾られた
ギャラリー小柳/ヘレン・ファン・ミーネ「Pool of Tears」
の写真は 空間にぴったりと合い 被写体の少女たちの
アンニュイ というか何とも言えない表情と光が印象的だった。
最後に、一番見たかった
ジェームス・タレル「光の館」へ。
直島で見た作品が、いつまでもその作品に居たいほど良かったので、
急で宿泊は無理だったが また作品を見れるのが嬉しい。

坂の上に建つその静かな佇まいだけでも
十分な迫力があり、圧倒される。

入ると畳の部屋があり、
開かれたふすまからは2面で景色が見えて
深呼吸をしたくなるような素敵な景色。

「さ、寝転がってみて下さいね」
案内の方の声で皆の頭を部屋の中心で突き合わせて
天井の窓を見上げる。
空が切り取られ、いつも見ているはずの空が絵になる。
雲の動きって こんなにまっすぐで早いんだ。
空をぼんやりと見上げて 雲に集中していると
瞑想している瞬間のように 無駄な心が空に吸い取られる。
しばらくすると ぽつ ぽつ と
雨がその四角い天井から 顔にあたった。
ガラスも無いその窓は雨になると閉められるのだが、
そんな貴重な瞬間を見れたのも嬉しかった。
少しづく閉じられて小さくなってゆく天井の空は、
まるでそこに大切にしまっておかれるようにも見えた。


下の階にある浴室も 静かな迫力があり、美しかった。
最後に温泉に入って、旅は終了。
短い時間だったがずいぶんと旅していたような
ゆっくりとした時間の流れだった。
最高の旅に感謝!
Thank you,
KIYATA,
MUNA,and
Cyane!