友人の23歳の誕生日。
夜、別件のパーティーが友達の事務所であると口実を作り、仕事上がりの彼女を連れて中目黒へ。
既に他のメンバーがサプライズパーティーのケーキなどの準備をしている会場に向かう道中…
「すいません、○○さん(彼女の名前)ですよね?はい、これどうぞ!」
いきなり見知らぬスーツ姿の男性に大きな花束を渡される。王子様役に抜擢した彼は、渾身の演技を。彼女は呆然。私も話し込んでいて作戦を半分忘れていて、普通にびっくりしてしまった。
あまりに突然のことに、彼女は警戒しまくりで、「人違いです」を連呼して一向に受けとらない。
このままだと作戦失敗。私も「きれいだから貰っちゃいな」など意味不明な理由をつけ、受け取るよう促した。
とりあえず受け取ると、王子様役の彼と、陰から渡すタイミングのキュウ出ししていた友人は、私が時間稼ぎして居る間に先回りしてパーティー会場へ。
彼女は状況を把握出来ないまま、花束を抱えて歩く。
その花束は向日葵など黄色の花を数種類合わせた夏らしい雰囲気で、リボンは橙色。偶然にも、彼女が過去に貰った花束は全てその配色だったそう。
更に、さっきまでBGが「雑誌の占いに 明日運命の人に出会うと書かれてた」という話をしていたので、これを使わない手は無い。 きっと彼が運命の人だよ!何もかもが偶然で運命で… なんて小芝居しながら盛り上げて会場へ。
チャイムを鳴らし、ドアを開けると 暗い部屋に灯されたキャンドルだけが浮かび、バースデイソングの大合唱。彼女は状況が分からず玄関から動かない。
「えっ、事務所でパーティーじゃないの…??何でみんないるの…!?」
純粋な彼女は何もかも作戦通り騙されていた。どっきり大成功。
飾り付けた部屋で写真撮影し、j彼女が大好きな花を散りばめたテーブルでケーキを食べ、プレゼントを渡した。喜んで貰えたようで良かった。
以前、とある広告に「東京にはドラマチックが足りない」というコピーが書かれていた。
そんな東京だからこそ、今夜は彼女にドラマの主人公になってもらった。
誕生日おめでとう。
今年もいっぱい楽しもうね。