青山スパイラルホールで行われている
SICFへ。
前回は期間中に一階のギャラリーのお手伝いをしていて ゆっくり見れなかったが、今回はじっくり見た。
まずザッと一周し、数カ所のブースをピックアップして見て周る。そして気軽に作家さんに話を聞けるのが良い。
今日はクスッと笑ってしまうような作品に沢山出会えた。
『列島ギャング』
都道府県全てをギャングの顔に見立て、名前や表情をつけ、その県出身者の特製を書き加える。それが結構的中していて、納得。絶対に県を覚えれる。次から天気予報などで県の形を見る度に笑ってしまいそう。
将来的には教科書など教育に取り入れて貰えるように、現在世界判のギャングも考慮中とか。
世界全ヵ国ギャングか…愉快だなぁ。
『MON』
家紋のデザイナー。と言っても ○○家 とかの家紋ではなく、日常の感情や人を紋にしている。「シアワセモン」「アナログモン」「キンガンモン」など…丸い紋の中の小さな世界に、シンプルな線や記号で表している。
忘れかけられている日本の伝統的な技。ちょうど先日“昔の子供の遊び”の本を購入し、最近 紋形の切絵をしていたので、とても興味深かった。
他にも何個か気に入ったブースがあり、お腹一杯。
SICFを一通り見終えた頃に、どこからかスチールパンの音色が。
こんな場所で何故?空耳か?
いつどこでも音が鳴る方に自動的に足が向いてしまう私。
昔 家族旅行で行ったハワイでも、現地の若者が演奏していたレゲエに引き寄せられ 、無意識に家族から離れて一人でホテルの敷地も突破して 海岸の方へと歩いていってしまい、親に心配かけたことも。
聴覚の本能が突飛なのか。
音に釣られていくと、音の主は『
PEPE CALIFORNIA』。
名前は聞いたことあったが、音を聞くのは初めて。
とてもツボ。いつもスチールパンが偶然を呼んでくれる。
電子的なメロディのリフレイン。
思わず 解散してしまっSUPERCARの野外フェスでそライブの光景を思い出した。濃紺の夜の空に 紫やブルーのライト、そして音の一部のような作られた声、そこに高いけど重い電子音。違う世界にワープしたような感覚になり、立ったまま動けなかった。
…そんな記憶も束の間。SUPERCARという言葉はすぐ頭から消えた。
『PEPE CALIFORNIA』はまた違う世界を描いた。
デジタルな音や機械を駆使してテクノ的な要素もあるが、珍しい音をサンプリングしていて、その素材はとてもアナログ。手を叩く音、口笛…。そしてスチールパンや鍵盤ハーモニカ。複雑に色んな音や振動や声が混ざり合わさっているのに、何故か煩くない。絶妙な匙加減。
アナログ人間の私も、こういう新しい世界観を作り出せるデジタル機材とデジタル人間に感謝。
一曲目の演奏が終わり、フロントマンが突然口を開いた。
「あれっ!!目を瞑っていたから気付かなかったけど…何でみんな座ってるの!?立って立って。ラクしようとしない!みんな…アートとか好きなんでしょ?ラクして良いもの得ようとしない。ほら、立って立って!!」
口を開いたフロントマンのテンションが 先程の音とあまりにもギャップがあり 笑えた。
それまで目を瞑って歌っていた彼は本気で気付いていなかったみたいだが、半分ほどの人が床に腰掛けていた。
ラクしよう、という感覚ではないかもしれないが、床に座って聞きたい音であった。
確かにラクして良いものには出会えない。
家から出ないと人とは触れ合えないし、街に出掛け色んな場所に足を運ばないと良いものには会えない。
それを余計に感じる街、東京。
東京に来たからには、もっと貪欲に自分の足で良いものに出会いに行かなきゃな、って考えさせられた。
帰宅したら月が見たこと無い程に橙色で、驚いた。
明日は 何処いこう。月と相談だ。