仕事中 ふと左の方に視線をやると、涼しい風が心を通り抜けた。
夕刻、隣りのお花屋さんに大きな笹が届いた。
いつも大きなパキラなどの葉植物が置かれていても、「凄い迫力」と思うだけだが、今日は違う。
ちょうど自分が覗いている木の窓枠が額縁になり、風景を邪魔するものは全て枠外で消されている。見えるのは、笹を背景に ディスプレイされた リネンのジャケットと、つばの大きなストローハットと、夏らしいサンダル、木の棚。その角度のその瞬間だけの絶妙な画が完成されていた。あと風鈴とか音さえあれば完璧…。
その風流な画を誰かと分かち合いたくて、近くにいるスタッフにも説明し、窓枠を覗いて貰った。
一瞬 そこに立った三人だけの時間の流れがスローダウンし、周囲はいつものように慌ただしく進んでいた。
以前にも渋谷の真ん中で、ある窓枠からパリの街並みのような構図に出会ったこともある。また、街の鏡が一枚の紙の役割を果たし、鏡越しにシンプルで現代アート的な画に出会ったこともある。
そんな場を発見した時は一瞬 時間が止まり、街中どこでも美術館に早変わりするので、好きだ。
これからも、街に紛れている、時を止めてくれる素敵な画を発見していこう。