東京都現代美術館で開催中の「アートと音楽」へ。
中でもCéleste Boursier-Mougenotの展示作品が
あまりにも良くて、全ての展示作品を見た後にもう一度戻り、
出た後にもやっぱりもう一度見たくて再入場までしてしまった。
ここまで執着させられるのは久しぶりだと思っていたら、
来場者の中にそのような方は多いようで
「どうしてももう一度見たくて、と再入場したり再来場される方多いんです。」
とスタッフの方が言われていた。
穏やかな動きのある丸いプールに
さまざまな大きさの白い器が浮かんでいて、
それぞれの器が近くの器に触れる度に
大きさや近寄るスピードによって異なる音を出す。
とてもシンプルな作品ながら、
どれだけ見ていても全く同じ音は生まれない無限な作品。
最初にこの作品を見た時に聞いた
均一に連続する音の後に
間隔をあけて大きめの音が二つ鳴ったのが綺麗で
なんとかもう一度あの規則で音を聞きたいと思ったものの、
偶然生まれる音に同じものを期待しても無理があるが、
それでも前の感覚を必死に傍に持ってきておきながら期待したくなる。
音速であっと言う間に流れていき、
その周りの温度や空気も含めたその瞬間を
自分の感覚以外のどこにもそのまま保存することが出来ない音楽。
人がいないと成立しない儚さに、ますます魅かれてしまう。
この展示の後に見たライブもまた、
同じものは一生どこでも味わえないであろう素晴らしいもので、
その時生まれた音の組合せはそれらで埋まった空間ごと
自分の中にある「好きな感覚の置き場」に、そっと置いておくと思う。
音楽と、音楽に紐付く自分の感覚を
もっと大切にしようと改めて思わされた日。